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一昨日の夜の話ですが、「沖縄の火の神について」という講演が島であり聞きに行ってきました。50~60人ぐらいの島民が聞きに来ており火の神への関心の高さがうかがいしれます。
火の神は沖縄ではヒヌカン、ピヌカンなどと呼ばれ(波照間ではピナカン)、昔から生活に必須の火を畏れうやまう気持ちから生じた民間信仰です。中国のかまどの神信仰と融合して台所にまつられ、一家の守護神として家族の繁栄、健康、安全などを祈願したり報告したりする存在です。講演では、沖縄では8~9割の家庭に火の神があると言っていました。
火の神というと、何も知らない人が聞くと、火事が起こらないようにまつる火の用心の神様かと思うかもしれませんね。しかしそうではなく、台所にあることもあり、家庭の女性が家族を想って日常的に家庭内であらゆることがあるたび拝まれる身近な神様です。
講演では時代の変化とともに拝むスタイルや慣習、まつられる道具なども変わっていったことがユーモアをまじえながら紹介されていました。
例えば、香炉をはじめ火の神の道具は白色でなくてはいけないとされていますが、それが定着していったのは戦後のこと。昔は色の決まりはなかったそうですが戦争で何もかも焼けてしまった沖縄本島において、陶磁器の流通の事情で内地から入ってきた白色の道具を使い始めたそう。それが神事をイメージする色だったためにユタが後付けで火の神の道具は白であるべし、という決まりごとのようなことを言い始めたとか。
ちなみに仏壇の香炉は沖縄では青色でニライカナイの海の青色をイメージすると言われていますが、これも神様の白に対して、あの世の海の青として、たまたま内地から入ってきた青色の香炉を使っていたのを、あとからユタなどによって後付けされたイメージだとか。
神様事情も時代とともに変わっていくし、地域や家庭によってもさまざまに違っていたりして、経典や聖書などのない民間信仰独特のバリエーションを持っていることが分かって面白かったです。
参加した島民もお家で火の神をまつっているものの、やり方はこれでいいのだろうか?とか、ほかのお家ではうちと違うやり方みたいだけどどっちがいいのか?などと日ごろから感じていたかもしれませんね。
面白かったのは講演が終わって帰る時に、外の暗がりでおばぁ達が「さっきの先生はあんな風にすると言ってたど、うちはちがうよ〜、昔から○○は××したらダメと言われてきてるからあんなのはやったらダメだよ」「うちは△△と言われてるさ〜」などなどとても熱心に報告し合っていたことでした。
全体を通して火の神は沖縄ではとっても身近で人間くさい神様としてまつられているんだなぁということがよく分かりました。
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